百億の昼と千億の夜……気になる行方。
シンセイウンキ
ソウタイヨウ アオ93ヨリ キ17ノナツ
アスタータ50二オケルワクセイカイハツイインカイハ……
これを諳んじられる人は、それなりにいるんじゃないかと思う。もちろん、私もそのうちの一人。
萩尾先生の漫画をリアルタイムで読み、慌てるように小説を手に入れた。
おりおなえのカタカナセリフは今だに辛いけど、何度読み返しても飽きない。
小説と漫画ではご存知のように、少し違う部分がある。今更比べる必要もないし、考察は既にいろんなところで語られてるし、あんまり深遠な論評はできそうにないので、ゆるゆるした内容でね。
で、挙げるなら、ユダから。
小説ではユダはゴルゴダの丘の日以降、姿を見たものはいない…とされている。
漫画版ではゼンゼンシティーの首相として、囚われの身だった。
どちらがより良いか……なんてことじゃなくて。
気になるのは小説版のユダの行方だ。
彼はイエスの存在に明らかに「違う」ものを感じていた。漫画版と同様に転輪王の召喚を受けた人物だったなと思う。
では、彼はなぜ再び現れることはなかったのか。
シッタータが眠っていた海の一角、はるかな深淵に何物かが沈んでいた。近づいた魚が怯えたように慌てて逃げるような、かなりヤバげなシロモノだ。
当初はそれは、ナザレのイエスの睡眠ポッドだろうと思っていた。
シッタータの目覚めの前に浮上して、トーキョーシティに向かう砂漠に着陸したのだ…と。
いや。
あれは、
ユダのポッドだったのではないか?
いち早く「シ」に探知され、目覚めることなく破壊、遺棄された。その無残な残骸、もしくは戦士として改造途中の異様な姿に、魚達もびびった。
のちに転輪王は「残ったのはお前達だけ」的な事を言っている。戦士の仕込みは他にもたくさんおこなったわけで、そのすべてが失われたのだ。
シッタータは阿修羅たちに、あれが何だったのか気になる、と話している。私も気になる。
これは回収されないままの謎た。
未回収……といえば、エルカシアの村を出たプラトンの行方もかなり気になる。
何やら「そこで待っているはずだ」とか言って、グラディウスを不安にしていた。
誰が待っているのだろう。
誰と会うことになっていたのだろう。
アテナイで弟子達に見守られて亡くなった。それは事実…と、ある。これはもうプラトンは、エルカシアのあと二度とアテナイに戻ることはありませんでした〜〜〜と言ってるのと同じだよ。
とするなら、次の村で待っていたのは
おりおなえ……か?。
アスタータ50で逃げたナザレのイエスはどこへ行ったろう。
あの球体はおりおなえに分解されてしまったから、もう自力では違う空間には行けまい。あのまま荒れ果てたアスタータ50を彷徨い続けるのかと思うとちょっと可哀想になってくる。漫画版は小説版よりも小物感が強いから余計に。
光瀬龍は「百億は前編」…みたいな発言をされていたという話がある。もしそれが本当でも、もう後編を読むことはかなわない。
それでも、もし、本当だったなら、
ナザレのイエスは阿修羅王の前に再び現れたのではないか?!。共闘する展開だってありえる。
あのままの使いっパでは、彼だって不本意だろう。
なんか、憎めないんたよなあ、あのおじさん。
アトランティス最後の日。
例えば暴動が起こらずに、あの黒い空間に素直に飲み込まれていたら、はたしてどこへ行けたのだろう。そもそもポセイドンに「移動」の気があったのか、かなり怪しいだけに答えがない。
要は「神」を絶対的に崇拝させれば国民丸ごと意のままにできるかの実証だったのか?
「移動」ねえ…。この世じゃないとこへの「移動」?
「消去」「抹殺」「絶滅」。物騒な言葉に置き換えたくなるね。
阿修羅は「失敗だった。それでよかった」と言っている。ヒトはそう簡単じゃないんだよ!と思い知らせてやったってこと?アトランティスが成功していれば事態はもっと早く進行していたと?。
うう〜ん、それはどうか。
これはダメだったな〜と思ったら、普通はよりハードな方法を持ち出すだろう。
その新たな方法が、神自らが乗り込むのではなく、「神の子」を遣わすことだったとしたら?
なまじ納得できてしまいそうなので、この話はここまでに。
話は変えて、漫画版。
プラトンがエルカシアの村で歓迎を受け、ご馳走を食べたあと、
「腹がくちくなったら、眠くなった」
と言う。
この「くちくなる」という言葉。
状況から意味はわかるが初めて聞いた。萩尾先生の地元の方言かな?と思ったけど、調べてみるとなかなか複雑で難しい解説がされている。
方言でもなさそうだ。
ちなみに私の実家の辺りでは「腹がおきる」という。こっちは方言だけどね。
そういえば、「進撃の巨人」を読んでいた時に
ドベ
という言葉が出てきて驚いた。
私は西の出身だから聞き慣れているけど、関東の読者に意味が通じたんだろうか〜。
ググれは大丈夫か、今の時代ならね。