はるかなる風と光……「約束のネバーランド」のエマ続きで思い出したから。
確か、話は島に響き渡る人々の歓喜の声で始まる。
彼らが唱えてるのは
「クイネマ」。
讃えているのはひとりの少女。
そして解説が入り、時間が戻る形で物語は始まる。
クイネマ。
クイーン・エマ、だ。
場所は南太平洋のちいさな島。たしか、キング島。とても英語圏とは思えないけど、時はヨーロッパの植民地化政策真っ只中。クイーンと称されるのは気分複雑じゃないか?。
「クイネマ」は「クイーン エマ」が縮まったのかとずっと思ってて、連載当初からヘンな略称だと半分白い目だったけど、ここへ来て、ちょこっと待て!
これは現地語?
あっ、そうだ、絶対そう。(だと思おう!)
いや〜、オトナになると多少はその辺、思い当たる門戸が広くなる!。
「はるかなる風と光」は、超ざっくり言うと、
南太平洋の小島でイギリス商人と島の族長の娘の間に生まれたエマが、
これからの教育を受けるためにイギリスへ渡り、
差別と迫害の末フランスに逃れてナポレオンと巡り会い、
彼の協力を取り付けて島の発展を目指すが、
イギリスが植民地支配しようと乗り込んできて、島を焼け野原にしてしまうものの、
その干渉をはねのけて再興を誓う。
そんな話だ。
あるインタビュー記事で美内すずえ先生は、
尊敬する人物は「ナポレオン」と答えていた。
と、いうより、美内先生のナポレオン好きは、ファンの間では周知の事。
この漫画の中にナポレオンが登場した時は、
きた〜〜〜〜っ!
と、思った。
その役割たるや。
美内先生はこの漫画でエマを描くのではなく、
ナポレオンを描きたかったから、この漫画を始めたのではないかな。
タイトルの「はるかなる風」や「光」も、ナポレオンがエマに寄せた言葉から来ているしね。
一番記憶に残るのは、ナポレオンがエマに課した「テスト」だ。
差別と迫害からフランスへ逃れたエマは、イギリスのスパイの疑いをかけられ、ナポレオンの行軍の前に引きずり出される。
フランスに来て日も浅く、フランス語を聞き取って理解はできても話すとバレるし、フランス語を読んだり書いたりはムリ。
口がきけないフリをするものの、ナポレオンは弁明をその足元の雪の上に書け、と言う。
ハラを括ったエマは自らの潔白を英語で雪に書き、拙いフランス語で訴えかける。その姿に何かを見たのか、ナポレオンはエマに目をかけ、彼女の訴えを聞き入れる。そして、ある「テスト」に合格できれば、故郷の島の発展を援助すると約束するのた。
その「テスト」とは。
牢獄のような部屋で、1週間だか10日だか😰過ごす。それだけ。
さて、その牢獄に入ってみたら…。
宮殿の部屋のように豪華で贅沢!何着ものドレスやらゲームやら。
エマ曰く。
何日だって居られるわ〜〜〜!
テーブルの上には1冊の本。
フランス語…読めないわ! ポイッ。
ひとしきり遊んだエマはベッドの中で思う。
島のみんなはどうしている。
みんなに会いたい。
みんなを豊かに、幸せにするにはどうしたらいい。
ああ…知識が欲しい…!
……本……だ?。
そうだ、なぜ気付かなかったんだ。
何が書いてある?知りたい!
テーブルの上のフランス語の本。牢獄の外にいる番兵を叩き起こし、本を読み上げてもらうのだ。
そして規定の日が過ぎて。
再び会ったナポレオンはエマに質問を浴びせかける。
ナントカ国の主要産物は?
ナントカを産出する主な国はどこか?
モロモロ……
必死についていくエマ。
つまりそれは、すべてあの本に書いてあったこと。
「よろしいっ!」
エマは合格した。
側近のおじいちゃんか言う。
「閣下はあの部屋でお前が何を選ぶか、見たかったのだ。着飾って遊ぶか、苦労しても知識を求めるか。
閣下も若い頃はたいそう本を読まれたものだ」
😰だから、多少言葉は違うだろうけど、そういうような事だ。
どっちかって言うと、ずっと本を読まされ続けた番兵さんにも褒美をあげてよね。
まあでも、最初は嫌がる番兵を味方につけてしまうエマの人柄も、テストのうちだったのかもね。
質問をするナポレオンは、とにかくシブい!
特に関心も無いように忙し気に歩きながら、背中越しに話す。
ホントは気になってた?
合格を認めた後の表情はわからないけど、きっと、口角はあがってたよね。
ここらへんの書き方、ナポレオン愛を感じる〜。
漫画は確か、イギリス軍に焼き払われたカカオ畑で新芽が芽吹いているのを見つけ、再興を誓う辺りで終わる。
ナポレオンの最期についてはふれてなかったと思う😰。
大恩人のナポレオンが、流刑地で死を待つばかりと知ったら、エマはどうしたろう。
彼を助けに行ったり……
しないか〜〜!
そんな続編や、歴史は、
無い!
でも、ひょっとしたら、並々ならぬ行動力の彼女だ。こっそりナポレオンを助け出して、キング島に迎えたりして……
ないかな、美内先生〜。
豊かなカカオ畑越しの夕陽見つめる、ナポレオンとエマ。
誰も知らない歴史!
まるで、義経・チンギスカン伝説!
昔々、宝塚歌劇で観たなあ。
「この恋は雲の涯まで」。
義経が北海道から大陸へ渡りチンギスカンになる、おなじみの歴史ロマン。
船に同乗した静御前が、荒れる海を沈めるために身を投げる。その死んだと思った静が大陸の漁師に引き揚げられ、そのまま奴隷となって義経と再会する、ちょっとショッキングな展開だ。
彼女の名前は「カン」。女奴隷の中ではアネゴ的存在。身を売る女に堕ちたことや、その運命を語るセリフが子供の私には生々しかった。
カンは結局自害するんだけど、「チンギスカン」の名前はその「カン」から取ったとされている。
だからこの歌劇は
チンギスハーン ではなく
チンギスカン で語られている。
主演は、甲にしきと大原ますみ。
宝塚はそれなりに通った。
時代はベルばらよりも少し前の頃だ。
ちなみにご贔屓のトップスターは
郷ちぐさ。
チャッチーだ!
この恋は雲の涯てまでを観た帰り道、親に言った。
あれ、ホンマなん?
答えは
アホか!