ビバ!バレーボール!……当時の少女の夢はネグリジェとガウン。
目をケガして入院中の千恵は、足首まで隠れるネグリジェを着ている。
この頃よく読んでいた細川千恵子の漫画に出てくるヒロインも、フリフリのネグリジェにガウンを重ねていた。
ネグリジェ!
足首までヒラヒラするそれは、まるでお姫様のドレスのよう。
その頃の子供が寝る時に着るものは
寝巻き
またはパジャマ
糊がバリバリにきいた薄い木綿で、たいていはお腹が冷えるからと上着の裾をズボンの中に入れるように言われた。場合によってはその上に腹巻き。
フリフリお姫様とは似ても似つかぬスタイルだ。
大きくなって自分で寝巻きを選べるようになったら、買うんだ。ネグリジェを!
そう誓った少女は絶対に私だけじゃないと思う。
年長けて……
夢は変わった。
袖口からようやく指先だけ出るような、ブカブカのパジャマにだ!
上着は女の子が、ズボンは男子が……などという、微妙にきわどいシュチエーションが思い浮かぶ人は、身に覚えがあるだろ〜!
実は私は一人暮らしを始めてからそれに近いパジャマを買った、セシールで。
上も下も人には着せた事はないが、まあ、その夢は叶ったのかも知れない。
ちなみに、昔は、パジャマやシーツの糊付けをどうやっていたかご存知か?
キーピングなんて液体糊は無いよ。
洗濯糊は白くてブルブルしてて、袋に入って売っていた。タライに少し水をはり、この糊を絞り出して溶かす。それに洗い終わったパジャマをくぐらせるのた。
あとは絞って広げて、叩きながらシワをのばして干す。
糊が多くてききすぎたり、ムラがあるのは普通。
夏は強い日差しと相まって、バリバリでゴワゴワだ。日焼けした肌にバリバリのパジャマ。そおっと袖を通しても、ちくちく痛かった。
今思い返すとあれはなんとなく、太陽の匂いがしたような気がする。
いや、家庭ってものの匂いか。
いやいや、カッコいい事言うのはやめよう!
ただの糊の匂いだな、やっぱり。