愛と誠……「ビーフシチュー」
「愛と誠」。
言わずと知れた、大人気漫画だ。
当時のクラスメイトで読んでない子はほとんどいなかったのではないか?と思うほど。
あんまりカンケーないのに「初恋」を読み始める女子とか、結構いた。
西城秀樹が主演した映画は大々ヒットしたらしいけど、私は未観賞。西城秀樹は人気絶頂期だし、ファンでもあったけど、実写には興味がなかったのだ。
さて
その「愛と誠」。
私のイチオシは
岩清水 弘!
彼の誠実さは誰もが認めるとこだけど、
一番好きだ!と公言する子は、友人の中にはいなかった。
例の
「君のためになら死ねる」が、
あまりにも気恥ずかしいからだと思う。
確かに……。
実際にいたら、
あんな言葉のラブレターもらったら、
かなり引くよね。
その人に好意を持っていたとしても、素直に喜べない複雑な気持ちになるよ。
物語の後半。
愛が家を出て、安アパートで独り暮らしをする展開がある。両親に迷惑をかけいため…だった😰と思うけど、高校生の女の子が部屋を借りられんのかは、まあ、よし。
疲れ切って憔悴した愛を寝かせ、介抱する岩清水君。
そこで彼が愛のために作るのが、問題の
ビーフシチューだ!
愛が寝付いたのを見て、買物に行く。
そして実に嬉しそうに、
幸せそうに、
野菜を剥く岩清水君。
彼にはこうして愛のために料理を作ることが、とても嬉しいんだよね。
ひょっとしたら将来、こんな風に料理を作る家庭を想像していたのかも。
岩清水君オシの私には
かなり、ぐっときたシーン。
ところが、
さあ、火にかけるぞっ!って時に、あろうことか、
「誠さん…」
眠っている愛がつぶやくのだ!
ささやかな幸せから大滑落!
岩清水君は青ざめて、
鍋を持つ手がガタガタ震える。
やってられっかっ!くっそお〜〜〜〜!!
と、鍋を叩きつけ……
は、無い。
愛が目を覚ました時には、岩清水君はいない。
かわりにテーブルの上にはシチューの鍋と手紙。
正確な文章は😰だけど、
僕の得意料理。
野菜の煮え具合はあとちょっと。
食べる時に火にかけて温めたら完成!
なんか、そういう事か書いてあった。
愛はこれを読んで涙する。
食べる時に一番美味しくなるように調理を調節。
その細やかな心遣いに、
そして、
それほどの想いに応えられない自分に。
いや、もう、まじで歯がゆいよ。さっさと誠に関わるのやめて、岩清水君にしろよ〜〜。
が、ちょっと待て。
ビーフシチューをね
そんな風に作っちゃうんだ。
カレーもそうだけど、野菜の煮込み具合は好みが分かれるところ。
具が、ゴロンゴロンと、しっかり形状を保ってなきゃイヤか?
すっかり煮崩れて、トロトロになってるのが好きか?
実は私は後者た。
カレーやシチューに限らず、肉じゃがの芋も、グズグズくらいに煮崩れててほしい。
え?
料理として下品?
えぇ〜〜〜〜〜〜〜っ。
神楽ちゃんも確か、
野菜ドロドロの田舎カレーが好きって言ってなかったけ?
いや、神楽ちゃんが上品か下品かを問題にしてるわけじゃないよ。
まあねえ、田舎カレーねえ。
田舎っぽいかあ〜。
お金持ちな早乙女家。
早乙女家ほどじゃなくても、岩清水家もそこそこな家庭だろう。
きっとキレイに面取りされた野菜が
つつましげに並んだシチューやカレーなんだよな。
汁はキレイにサラサラだ。
間違っても、とろけてしまったジャガイモで、ドロドロざらざらなんてしていまい。
あれが美味しいんだけどな……。
でも、岩清水君よお。
温める程度の火入れでは、野菜はそれ以上煮えないぞ。きっとまだ、芋、固いぞ。
「愛と誠」のラスト。
多分だけど、誠は死んだよね。
まさかな終わり方。
でもあの二人が結ばれるような、そんな展開は相当嘘臭くて難しいだろう。そんなに簡単にハッビーエンドにはできない話だった。
結果、ああするのが必然だったろうと思うけど、
そういう意味で、終わり方が似ている。
「風と木の詩」に。
ジルベールとセルジュ。結ばれて幸せになれるほど甘い世の中&物語を、作者が用意しなかった点で。
セルジュは立ち直り、新しい道を進んだろう。
さて、愛は?
時間はかかるだろうけど、結局は岩清水君が彼女の受け皿になると思うなあ。
そして、最高では無いにしても、十分に幸せで穏やかな日々を手にするんだよ。
余談だけど「風木」は
セルジュはパトリシアと
アンジェリンはパスカルとケッコンすると思う。
パスカルは、
「結婚するなら貴婦人か、ドタ足のロバ」
「オレはドタ足のロバでいい」
とか言っていた。
ところがどっこい、
とびきりの貴婦人に惚れちゃうんだよ、きっと。
でもアンジェリンもきっと
「私、ドタ足のロバになるわっ」とかで、ドレスをたくし上げそうな気がする。
脱線、すんません。